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繰り返し膝に水が溜まる【悪い歩き方】と正座について:膝痛予防自主トレ治療法

『膝が腫れるたびに整形外科で何度も水を抜き、徒にヒアルロン酸注射を打ち続けている方はいませんか?』

膝の水を繰り返し抜くことは決して良い事ではありません。

なぜなら膝関節に注射を打つと、その度に注射針によって関節組織が傷つき、逆に膝痛が悪化するケースがあるからです。

膝痛を根本的に治す上で最も大切な事は、膝の水を抜くことではなく膝に水が溜まる原因を変えること。

今回は繰り返し膝に水が溜まる原因となる悪い歩き方を動画(約1分間)でご紹介し、膝痛治療でよくある『正座にまつわる誤解』について説明します。

【更新履歴】2019年4月25日:最新の臨床を基に情報を更新しました。

最初は本当に膝に水が溜まって膝が曲がらなかったかもしれません。しかし…

先日、患者様でエアロビクスインストラクターの女性が膝に水が溜まり、正座が取れなくなってしまいました。

どうも1月から新しく始めた運動(足を真横に激しく上げる)が原因のようで、その動作をご自分のクラスでやるようになってから膝に水が溜まるようになったそうです。

膝の水(関節液)は正常でもせいぜい5ml以下しかありませんので、少しでも水が溜まると関節は曲がりにくくなります。

水が溜まったせいで正座が取れなくなり、整形外科で膝の水を抜いたそうです。

水を抜いて、少しは曲がりやすくなりましたが、それでもまだ完全には膝が曲がらない状態で当院を受診されました。

なぜ膝に水が溜まるのか?

膝関節に繰り返し無理な負荷が生じると、軟骨は擦り減っていきます。

その擦り減った軟骨の削りカス(軟骨片)が関節内に炎症を引き起こします。

身体はこの炎症を抑え、治そうと関節液を増やします(関節液の中には白血球があり、この削り粉を食べて消炎してくれるのです)
これが膝に水が溜まるメカニズムです。

この関節液はいわば炎症を抑える薬のようなものですので、膝に水が溜まること自体は、体が一生懸命治そうとしている生体反応なので決して悪い事ではありません。

本当に問題なのは膝関節に無理な負担をかけ炎症を引き起こす動作です。

膝に悪い動作をやめなければ炎症は繰り返され、それを治そうと関節に水は溜まり続けます。

さて、今回のケース。

膝関節が炎症して水が溜まった原因は、“足を真横に挙げる運動”のやり過ぎです。

炎症が生じたのは、正座をとっていたせいではありませんよね?

ですから関節の炎症を引き起こした“足を横に挙げる運動”をやめる、もしくは回数を減らせば、再び膝が腫れて水が溜まることは無いはずです。

にもかかわらず、正座が膝に悪いと誤解するのは、膝が腫れている際に正座を取る時に当然感じる不快感や違和感のせいでしょう。

大切なのは何が原因で水が溜まったのかを冷静客観的に分析し、その動作を改善もしくは中止することなのです。

臨床的によくある『悪い歩き方が引き起こす膝関節の炎症』

さて今回のケースはエアロビクス運動による膝関節の炎症でしたが、臨床的に圧倒的に多いのが『悪い歩き方が引き起こす膝関節の炎症』です。

その代表が外側スラスト現象と呼ばれる、足を着くたびに膝が外に抜ける動きです。膝が外に抜ける際、膝内側の軟骨がぶつかり合い、削られて炎症を引き起こします。

外側スラストがある場合は、歩き方を変えない限り、繰り返し膝に水が溜まり、膝の変形が進行するのです。

膝が悪くなる人に共通する特徴は?

膝痛が慢性悪化する人々は共通して正座をとらくなる人です。

ないのではなく、となくなる人が皆、膝痛を長期間引きずり、そのうちに本当に膝関節の変形を招き、結果手術しかなくなるのです。

確かに最初は水が溜まって膝が曲がらなくなったかもしれません。

しかし、ここで正座をとる努力をやめると、本当に膝は曲がらなくなります(1ヵ月くらいで関節は拘縮します)。

すると膝周囲組織が硬化してしまい、慢性痛を引き起こします。

だからこそ、水を抜いた後は多少曲げにくくてもしっかり正座をとる自主トレをやるべきです。

正座が原因で水が溜まったわけではないのですから、正座の自主トレで膝に負担がかかり、水が溜まるなんてことはあり得ません。

私はこのエアロビインストラクターの患者様に、最初は曲げにくいかもしれないけれど、本当に膝関節が固まってしまう前に、しっかりと積極的に膝を曲げ、正座をとるよう指導しました。

この患者様はアドバイスを守り、正座自主トレを恐れず実行された結果、現在は問題なく正座が取れるようになり、膝には全く痛みがありません。毎日、元気にエアロビクスのお仕事を続けられています。

もし、あの時正座を取ることをやめていたら、本当に正座が取れなくなり、今でも膝痛を抱えていたのだと思います。

正座は膝にどのような影響をもたらすのか?長引く膝痛の本当の原因について

「膝が痛くなってから正座をとるのをやめた…」という患者様がいらっしゃいます。

なかには整形外科のお医者さんから正座はやめるようにと言われた方もいるようですが、これはとんでもない間違いです!!

『いつまで注射を続ける?』ヒアルロン酸注射では【治せない膝痛の特徴】⇒』でも述べたように、膝痛の原因は膝の硬さが原因です。

ですから正座をとらなくなると膝関節が硬くなり、慢性の痛みが発生します。

正座をとらないと図のような負のスパイラルに陥るのです。

膝がどんどん悪くなる人の多くが『正座をとるのをやめてしまった人』なのです。

効果的な予防自主トレ治療法:経過の長い膝痛患者様ほど正座を恐がります

私が最初に患者様におススメする自主トレは『お風呂で正座』です。

お湯の中ならば関節周囲も温まっているので伸びやすく、かつ、浮力がかかっているから膝への負担も心配ありません。

図のように足首を伸ばしても良いし、きつい人はつま先は立てて浴槽に手をついてやってもOK。

ある人は湯船に正座し、詮を抜いてお湯が無くなるまで正座をとっていたら膝痛が治ったと私のFace bookページに投稿して下さいました。

実際、勇気を出して『お風呂で正座』エクササイズを始めてくれた患者様は皆、膝痛が快方に向かいます。

でも慢性膝痛患者様はなかなか、正座を恐がり、膝を曲げようとしません。

『正座で膝が壊れる』という根拠のないイメージがあるようですが、正座をとらないことが膝痛を長引かせている大きな原因なのです。

私は毎回、患者様を励まし勇気づけ、何とかお風呂で正座をとるように啓蒙し続けています。

 

曲げるだけでなく、伸ばすことはもっと大切です

膝を変形させず、関節を強くするには、膝の骨にしっかりと荷重刺激が加わることが重要です。

骨に衝撃が伝わることで、骨芽細胞(骨を作る細胞)の働きが活発になり、骨が作られます。

ですから立ったり、歩いたりして生じる床からの衝撃がしっかりと骨に伝わらないと骨は作られず、もろくなるのです(詳しくはコチラ⇒『骨粗しょう症になる歩き方』)。

立っている時に、膝がしっかり伸びておらず、少し曲がっていると、衝撃が骨に加わりにくくなるため、骨は脆くなっていきます。

その結果、膝関節の変形が進み、本当に変形性膝関節症になってしまうのです。

ですから私が膝痛患者様を診る際に、まず最初に注目することは、膝が曲がるのかよりもむしろ膝がしっかり伸びているのかどうかです。

関節には“遊び”と呼ばれる特殊な動きがあるのですが、遊びも含めて膝がしっかり伸ばせるのかをチェックし、もし大丈夫ならその人の膝痛を治すのは比較的簡単です。

しかし、もし膝がしっかり伸びない場合は、一刻も早く膝が完全に伸びるような治療を開始し、自主トレ法も指導します。

ですから湯船での正座に加え、湯船で膝伸ばしも簡単にできる有効なエクササイズ。

浴槽の壁に足裏をつけ膝を伸ばしながら壁を蹴ります。
この時、背中も壁につけて行い、膝に抵抗がかかるように工夫します。

膝に力を入れたまま5秒キープで30回、毎日行うと筋力強化・可動域改善に効果的です。

子供が正座をとるとO脚や短足になる?

これらは全くの迷信です。

横座りやペシャンコ座り(女の子座り)だとO脚なるリスクがありますが、正しい正座ならば大丈夫です(むしろ姿勢を正す効果もあります)。

しかし正座だけでなく、同じ姿勢を取り続けることはあまり良い事ではありませんので、その辺は注意が必要ですが、正座が悪いという事は決してありません。

まとめ

正座は膝にとって良いことです。

正座は膝前面組織を柔らかくし、膝痛を軽減させるのには欠かせない大切なリハビリとなります。

また、曲げるだけでなく膝をしっかり伸ばすストレッチや歩き方も膝を変形させないために重要なこと。

皆さん、恐れず、まずは『お風呂で正座』から始めてみて下さい。

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【投稿者の経歴】

糸日谷 哲章 【イトヒヤ テッショウ】

保健医療学修士/理学療法士/柔道整復師/
シン・インテグレーション認定施術者

運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛に特化した治療を行う

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