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骨粗しょう症になる歩き方

毎日15000歩以上歩いていたのに‶しりもち”をついただけで簡単に股関節を骨折

誰にでも起こりうる本当にあった怖い話

足腰を強くする為に必要とされる1日の歩数は8000~10000歩と言われています。

実際にやってみるとわかるのですが毎日10000歩を歩くのはかなり大変。

私は仕事柄、院内をパタパタ忙しく一日中動き回っていますが、それでも1日せいぜい3000歩がよいところ。

10000歩歩こうとするなら仕事終わりに、1時間から1時間半くらい、せっせと毎日歩かなければなりません。

さて、私が昔、東京目黒のクリニックに勤めていた頃、毎日仕事で15000歩以上歩いていたのに転んで股関節が簡単に折れてしまい、人工関節の手術を受けなければならなくなった患者様がいらっしゃいました。

年齢は70代前半の女性。

決して派手な転倒ではなく、“しりもちをついた程度”だったそうで、本人も足腰に自信があっただけにとても落ち込んでいらっしゃいました。

この方は検査の結果、骨粗しょう症が重度に進行していました。

ではなぜ、しっかりとたくさん歩いていたこの女性がしりもち程度の転倒で簡単に股関節が折れてしまう骨粗しょう症を患ったのでしょうか?

関節にしっかりと衝撃を加えて歩かないと、骨はどんどんもろくなっていくーウォルフの法則

骨が作られるメカニズムを簡単に説明します。

骨に荷重した刺激が伝わると、「ここをもっと強く、硬くしなきゃ」と体が反応し、刺激が多く加わる場所に骨が作られます。

しかし体重がかからない場所は“骨が強くなる必要がない”と、骨形成が休みがちになり、骨が脆くなるのです。

このような体の法則をウォルフの法則と呼び、整形外科における骨折治療では世界共通の基本概念とされ、治療に利用されています。

この方はなぜ骨粗しょう症が進行してしまったのか?

さて、先ほどの女性ですが、職業は旅館の仲居さん。

毎日配膳の為、立ったり座ったり、階段の昇り降りを繰り返していて、日々15000歩もの歩数を歩いていました。

しかし職場でのユニフォームが和服だったのです。

和服で“すり足気味”に歩いていたため、しっかりと骨に荷重刺激が伝わらず、骨がどんどん脆くなっていき、骨粗しょう症が進行してしまったのです。

また室内での仕事だったため、太陽にあたることが著しく少なく、ビタミンDが体で作られなかったことも骨粗しょう症の進行を早める原因でした。

ビタミンDは骨を作る際に必ず必要となるビタミンで、太陽にあたることで体内に作られます。

この方はビタミンDの不足により、食事で毎日カルシウムは取っていても骨が作られにくくなっていたのです。

関節痛のある方が良くおちいる骨に対する誤解

膝痛、股関節痛のある患者様の多くが共通して抱く不安に「関節に負担をかけると軟骨が擦り減ってしまう。関節が壊れてしまうのではないか…」といったものがあります。

このような不安を抱く患者様は、症状がこれ以上悪くならないよう、膝や股関節を庇って、体重を逃がすような歩き方をするのです。

しかし、これが大きな間違い。

体重を逃がすような歩き方をすればするほど、骨粗しょう症は進み、骨が弱くなり、関節が変形していきます。

骨や関節を守ろうとして庇った結果が逆に関節の変形を進め、症状の悪化を招くのです。

私は患者様に繰り返し、繰り返し、治療中に啓蒙するのですが、筋などの組織の痛みはいくらでも治せます。

しかし、いったん進行してしまった骨の変形は治せません。

皆さんが考えるべきは骨を強くすること。

骨に荷重した衝撃が伝わるよう、体重をしっかりとかける歩き方こそが、骨を鍛え、骨を強くし、結果関節痛の改善につながる正しい歩き方なのです。

骨粗しょう症になる人に共通する歩行の特徴

皆さん、チェックしてみましょう。多く当てはまる人は、今は大丈夫でも将来、骨粗しょう症になるリスクがあります。

・膝がしっかり伸びていない

・足の裏全体で接地する(踵からしっかり接地していない)

・歩幅が小さく、ちょこちょこ歩く

・つまづくことが多い(踵からしっかり接地していない証拠です)

骨を強くする正しい歩き方とは?

私の患者様にスポーツインストラクターで50代の女性がいらっしゃいます。

毎日何時間もエアロビクスで飛んだり跳ねたりしながら生徒さんに教えているこの女性が、たまたま整形外科で下半身のレントゲンを撮ったところ、お医者さんは「こんな硬い足の骨は見たことがない」と驚いたそうです。

骨は骨密度が低いとレントゲンでぼやけて写り、密度が高いと白く濃く写ります。

レントゲンに写ったこの方の骨は同年代の女性と比べて真っ白なのです。

つまり、骨が通常より硬く、強いのです。

もちろん、この方の膝や股関節は、毎日酷使しているにもかかわらず健康そのものです(うちには疲労回復、全身調整目的で来院されています)。

この実例が示すように、骨に衝撃を加え、体重をしっかり加えることが骨を鍛え、強くする重要なポイント。

骨トレの要点はここにあります。

そして日々の歩行で骨に体重をしっかりとかけることを心がけることが骨粗しょう症対策として大切なことです。

では実際の骨を鍛える歩行のポイントです。

1.踵からしっかり着く

2.少し大股であるく

3.膝をしっかり伸ばして歩く

4.踵⇒土踏まず⇒親指の先を意識して体重をかける

1.2.は比較的簡単に誰でもできますね。3.4.に関しては実地での指導が必要かもしれません(言葉では表現が難しく、一緒に歩きながらお伝えするのが一番良いです)。

歩行矯正治療について詳しくはこちらをクリック

まとめ

健康のためにと、折角散歩を頑張って、毎日10000歩を目指すのなら、『骨を鍛える、強くする』という観点に立ち、関節に衝撃を伝える正しい歩行を身につける事が大切。

しっかり膝を伸ばして踵から接地し、少し大股で歩くことが骨を強くする歩き方のポイントです。

関節を庇わず、ご自分の膝や股関節を信じて元気に歩いてみて下さい。

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【投稿者の経歴】

糸日谷 哲章 【イトヒヤ テッショウ】

保健医療学修士/理学療法士/柔道整復師/
シン・インテグレーション認定施術者

運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛に特化した治療を行う

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