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『腱板断裂』と四十肩は何が違うのか?

石灰沈着性腱板炎が女性に多いのに対し、腱板断裂は男性に多く、特に50~60代の力仕事(大工さんなど)をしている肉体労働者に多くみられ、これも四十肩と区別されにくい疾患です。

肩の腱板が断裂し発症するのですが、転倒して実際に肩をぶつけ、断裂する場合もあれば、明らかな受傷機転がなく腱板損傷する場合や、窓拭き掃除、水泳のクロールなどの肩の反復動作後から痛みと共に発症するケースもあります。

四十肩と症状が類似しているため、治療者がしっかりと鑑別診断を行い、治療をすすめていくことが重要です。

腱板断裂の3大徴候は『疼痛』『軋轢音(あつれきおん)』『筋力低下』で、四十肩にみられる関節拘縮はほとんどの場合でみられません。

軋轢音とは肩を動かした際に鳴る音の事で、腱板断裂の場合、治療者が肩に手を当て患者様の肩を動かすと“グチュグチュ”っとした音を触知できます(ちなみにこの軋轢音は四十肩ではみられません)。

腱板断裂への徒手療法は消極的なものがよく、積極的な徒手介入(関節可動域拡大を目指したROMなど)は控えるべきです。
というのも週1回程度の注射治療を数週間続けていくうちに、約70%は寛解するという報告があるからです。

ですので理学療法は正しい自主トレ指導を中心に行い、腱板の代償機能を獲得させることを第1に行うことがベストでしょう。

ただ実際の臨床では夜間痛の訴えがなかなか消えない患者様も数多く存在しますよね。

私の担当したケースでは大工さんで大口の仕事があり、その現場が終わるまではどうしても重たいものを持たなければならず、仕事を続けている期間中はずっと夜間痛に苦しんだ方がいらっしゃいます。

腱板断裂は筋肉の怪我なので、怪我している筋肉を使い続ければいつまでも傷口が回復しません。

しかしどうしても仕事を休めないという現実があるため、その辺が治療上、難儀するところなのです。

治療者が四十肩と腱板断裂の違いを患者様にしっかりと説明し、休ませるべき時期に患部をしっかり休ませることを受け入れてもらえるかが重要なポイント。

決して四十肩と腱板断裂をごっちゃにして捉えさせてはいけません。

無理をすれば動かせてしまうのが腱板断裂なので、その辺を理解してもらい、『きちんと患部の安静を保ってもらえるか』が治療の成否を分けるのです。

また夜間痛が発生して数か月経っているのであれば、患部に対する筋硬結リリース手技:iSingが有効です。
腱板は損傷が回復する過程で組織が硬くなり、トリガーポイント(筋硬結)と呼ばれる発痛点を作ってしまうことがありますが、
これらの硬結組織に対してiSing治療を行うことで悩ましい夜間痛が回復に向かう事が多々あります。

肩を休ませ、硬結リリース手技:iSingで夜間痛を軽減し、肩の痛みが落ち着いてきたら自主トレを開始して腱板機能の再獲得を目指すことが治療の基本となります。

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【投稿者の経歴】

糸日谷 哲章 【イトヒヤ テッショウ】

保健医療学修士/理学療法士/柔道整復師/
シン・インテグレーション認定施術者

運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛に特化した治療を行う

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いとひや整骨院

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