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【図解】四十肩拘縮発生のメカニズム

四十肩も急性期の夜間痛が落ち着くと、次に肩が固まってバンザイなどができなくなる凍結期(拘縮期)が始りますが、皆さん、拘縮治療は得意ですか?

可動域の70%は作れるけど、残り30%が作れず、制限が残ってしまう…
なかなか角度が作れなくて、少し強引にストレッチしたけど、やっぱり改善できなかった…
患者さんが痛がっても関節を動かした方が良いのかしら?

こんな疑問を抱えている治療家の方は意外と多いんじゃないでしょうか?
今回の投稿で拘縮発生のメカニズムを知り、凍結期の拘縮治療に強くなりましょう。

拘縮はどこに・どうしたら発生するのか?

ネズミの膝をギプスで固定し、意図的に関節拘縮を作り出し、その膝を解剖して調べた実験があります。

その結果では、皮膚が19%、骨格筋が43%、関節包が30%の割合で関節拘縮に関与していました。

四十肩だけを例にとると拘縮発生の好発部位は腱板・肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭腱、関節包といった部位に発生しやすく、初期では三角筋付着部の拘縮も良くみられます。

拘縮を引き起こす直接的な要因は関節の不動で、不動期間が長くなるほど拘縮が酷くなることは経験的にも御存じでしょう。

不動状態が続くと筋肉が硬くなって伸張性が低下し、関節の動きが悪くなるのです。

また不動により組織に酸欠状態が続くと、脂肪細胞が萎縮・消失し、その隙間を埋めるようにコラーゲンの増生が起きます。

つまり、拘縮発生時には皮膚、骨格筋、関節包といった関節周囲軟部組織が線維化を起こすのです。

図はラットの足関節を2週間固定し、ヒラメ筋の状態を調べたものです。浮動2週間後には、コラーンの増生がみられ、筋周膜(矢頭)や筋内膜(矢印)が肥厚しています。

筋膜の肥厚・線維化が起こると関節を動かすたびに痛みを感じるようになりますが、線維化改善に最も有効な治療法は筋膜リリース系のアプローチです。

関節拘縮を予防する

四十肩は必ず一旦は固まってから治る疾患ですが、必要以上の拘縮を作ることは治るまでの期間を長引かせることになり、患者様にとって不利益です。

最小限の拘縮に留め、可動域制限を残さず治すことが大切ですよね。

関節は動かさないと組織が酸欠状態になり、それが続くと、コラーゲンの増生・癒着を引き起こしますので、拘縮が完成する前にできるだけ酸欠状態を改善することが関節拘縮の予防につながります。

具体的な方法として、関節運動を伴わない等尺性筋力トレーニングで肩周囲の筋肉を動かし、組織に酸素を送る運動療法や、電気刺激療法も有効です。

等尺性運動なら急性期の痛みが強い時期でも少しはやれるかもしれません。

また電気刺激療法は10Hzの低刺激を肩周囲筋に与え、断続的に単収縮を起こさせ、組織に酸素を送ることが良いようです。

電気をやってその場で痛みが取れるわけでも、可動域が改善するわけでもないので、軽んじられがちですが、拘縮予防の観点から考えると無駄ではないかもしれません(私はあまりやりませんが…)。
先行研究では電気治療の拘縮予防効果に対する論文がいくつか存在します。

不動4週までは筋肉がメインで硬くなり、4週以後は関節包まで硬くなる

拘縮はまず皮膚・骨格筋で発生します。
ただ皮膚性・筋性拘縮は筋膜リリース系の治療で筋膜(コラーゲン組織)の癒着を剥がせば、比較的簡単に改善できます。

問題なのは、4週以上不動固定が続き発生する関節性拘縮です。

関節包は体の最深部に存在するため、筋膜リリース系の治療が届きにくく、関節包の癒着を剥がすためには特別なテクニックが必要となります。

というのも、もし関節包の柔軟性を出そうと無理なストレッチを行うと患者様の負担は相当なものとなり、改善どころか、組織を痛めることにもなりかねません。

でも、痛くない範囲の優しいROMエクササイズでは関節包の線維化は改善せず、一向に可動域は拡大しないでしょう。

当然、可動域の正常化が遅れれば遅れる程、拘縮は高度に深刻化し、その結果、可動域制限を残して治癒してしまう最悪のパターンとなるのです。

ですから患者様が痛みに耐えられるギリギリのラインで治療し、かつ、本当に結果の出る自主トレを手順良く行ってもらうことが関節包性拘縮の改善には必須となります。

図はラットの膝関節屈曲拘縮モデルです。
4週間固定すると滑膜の脂肪細胞が萎縮・消失し、その間隙を埋めるようにコラーゲンが増生します。結果、後方関節包の肥厚がみられ、線維化が生じています。

拘縮改善の治療ターゲットはコラーゲン組織

四十肩になり肩が動かせなくなると、コラーゲン組織が増え、筋膜の癒着が生じます。
最初は皮膚や筋肉が硬くなり、4週間以上動かさないと関節包にまで線維化・癒着が発生し、高度の関節拘縮を作り出してしまいます。

癒着を起こしたコラーゲン組織(筋膜)は慢性的緊張によって固くゲル化しています。
これに対し指や肘を使って持続的圧を加えていくと、圧電現象により固まったコラーゲン組織は流動性のゾル状態となり、元の正常な状態に戻って癒着が解消するのです。

このように硬くなった筋膜の癒着を解消するのに最も効果的な方法、それが筋硬結リリーステクニック【iSing:アイジング】です。

多くの患者様がiSingによってその場で劇的に改善します。

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【投稿者の経歴】

糸日谷 哲章 【イトヒヤ テッショウ】

保健医療学修士/理学療法士/柔道整復師/
シン・インテグレーション認定施術者

運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛に特化した治療を行う

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