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パーキンソン病と腰痛①:リハビリ治療の効果と大切な指針について【2019年最新版】

パーキンソン病を患う患者様の多くが腰痛を併発しています。前傾前屈姿勢により腰が常にストレスにさらされてしまう為です。
腰痛はもちろん、パーキンソン病の進行に対抗するために大切となるのがリハビリテーションです。

今回はリハビリの効果や頻度、パーキンソン病を治療していく上での大切な指針についてのお話です。

パーキンソン病の主症状である前傾前屈姿勢

前傾前屈姿勢とは、身体が自分の意志に反して前屈みになってしまい、かつ、自分では身体を起こすことが難しくなるという厄介な症状。

患者様は、この前傾姿勢を常に強いられるため、多くの場合、腰痛に苦しんでいます。

腰痛治療で腰のダメージを抜けば一旦は腰痛が軽減するのですが、再び前傾前屈姿勢を長時間とれば、当然、腰にダメージが蓄積し、また痛くなるという悪循環を繰り返します。

私は腰痛に対し3段階の治療アプローチをするのですが、患部のダメージが抜けても、悪い姿勢が改善できなければ腰痛は再発してしまいます。

パーキンソン病のリハビリで大切な指針

進行性疾患であるパーキンソン病を患った患者様に対して、私達、理学療法士にできることは何かあるのでしょうか?

私はあると考えています。

パーキンソン病とは、脳内の黒質と呼ばれる場所に存在するドーパミン神経が脱落してなくなっていってしまう病気です。

ですからドーパミンを補うための薬物療法が最重要の治療となります。

しかし私が今まで出会った患者様達は皆、「この薬で本当に合っているのか?本当に薬が効いているのか?」といった薬の種類や量に悩まされ、検査を繰り返しています。

そのような悩みに陥ってしまったパーキンソン病患者様のリハビリで私が大切にしている指針があります。

それは『今考えて分からないことは分からないこととして一旦置いて、今考えて“やれることをしっかりやる”。基本に忠実に足元をしっかりと固める』という指針です。

患者様は自分で考えても答えが出ないこと(薬の種類や量など)に囚われてしまい、今やれる努力が疎かになってしまう場合があります。

進行性の疾患である以上、まずはこの進行を食い止める、もしくは進行を遅らせる努力を優先し、薬の事は医者に任せるというスタンスをとるよう、私は心がけています。

実際、筋肉が硬くなる疾患であるので、放っておけば当然、関節の動きも硬くなってきます。

ですから、毎日、しっかりと全可動域、全身の関節を動かし、二次的に起こる関節拘縮を防ぐことが重要です。

固くなって困る関節として、最も大切なのが股関節です。

股関節が固まると歩行に多大な問題が生じます。

また体幹の回旋(体を捻る)が硬くなり、歩行動作がぎこちなくなってしまいますので、体幹のストレッチも重要です。

いずれにせよ、放っておいたら体がどんどん硬くなってしまうので、これに対抗するために日々の運動、ストレッチは欠かすことができません。

リハビリの頻度と効果

実際、2週間に1回くらいの治療ペースでも、全身の関節をセラピストがしっかりと動かし、歩行練習を行うとリハビリルームの中ではしっかりと歩けるようになるケースがほとんどです。

しかしリハビリが終わり、時間が経つとまた少しずつ体の硬さが出てきて、歩くのが困難になりますが、それでもまた次回のリハビリでしっかりと全身の関節を治療して、歩行練習するとまた歩けるようになる。

そのようなリハビリを根気強く続けることで、何とか歩行能力を維持すること、それが治療において最も大切なことです。

理想的には週に1回、もしくは2週間に1回のペースで、しっかりと1時間の治療を行い、全身の関節可動域を維持しつつ、可能な限り歩行を正常レベルにまで戻す。

すると患者様は普通に歩ける感覚をずっと忘れることなく、歩行が保たれ、中にはリハビリ開始前には歩けなかったレベルの人が、歩けるようになるケースもあります。

リハビリを何もせず、ただ薬だけに頼った治療より、積極的なリハビリ治療を行っている方がパーキンソン病の進行に対抗できると、私は臨床で多くの患者様をみてきて実感しています。

1人でも多くのパーキンソン病と闘う患者様にこの投稿が届くことを願っています。

実際の患者様の声

患者様①:茂原市 松本武さん(70代)

治療前:

脳梗塞によるパーキンソンで、右足、右手がうまく使えず、歩行では、転倒しやすくなり、家では座っている事が増えてしまった。(自分で体を動かそうとしない)

治療後:

毎週治療にて固くなってしまった関節などを先生にもみほぐして頂いてから色々なトレーニングを行っていくうちに、右腕が半分しかあげられなかったのですが今では上まであげられるようになり、転倒もへってきています。

信頼できる先生なので次回までの課題を毎日家でやる事で意欲もわいて毎週楽しみにしています。


パーキンソン病と腰痛②:うつ病の薬(パキシル)を止めたら前傾前屈姿勢が改善し、走れるようになった

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【投稿者の経歴】

糸日谷 哲章 【イトヒヤ テッショウ】

保健医療学修士/理学療法士/柔道整復師/
シン・インテグレーション認定施術者

運動学的観点から痛みの発生原因を追求し、難治性疼痛に特化した治療を行う

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